ATM
私の行くスーパーには店外に1台の銀行のATMがある。
先日、買い物をする前にお金を引き出そうとATMへ向かった。
ATMの施設の中には二人の女性が使用中。
そして私の前に、二人のおばあちゃんが順番待ちをしていた。
中にいた人が出てきた。
と同時に、二人のおばあちゃんが一緒にATMの中に入っていった。
なんだ…ツレだったのね…
ATMを操作する二人のおばあちゃんを眺めながら順番を待っていた。
二人が出てきた。
入れ替わるように自動ドアの中へと―――
いつものようにカードを差し込み暗証番号を押そうとしたとき、背後で自動ドアが開いた。
なに!?
誰か入ってきた!
ビックリして振り向くと、さっきのおばあちゃんが。
「あの~すみません…さっきお金を引き出そうとやってみたんだけど出来なかったんですよ…」
おばあちゃんは、そう言うのだけれど、なんせATMの個室の中、暗証番号を押すタイミングで入ってこられた私はプチパニック。
とにかく、おばあちゃんという外見に騙されてはいけない。
もしかしたら…
最悪の事を考えると、とにかく、このおばあちゃんに出て行ってもらわなければ。
「ごめんなさい。暗証番号押すところなので、とにかく出て行ってもらえます?」
おばあちゃん、緑色のカードを握り締め、また私にこう言った。
「先に入ってた女の人が、どこか変なところを押したんじゃないかと思うんやけど…」
いやいや…
そんなこと私に言われても…
「あの…とにかく出て行ってくれます?」
申し訳ないけど、私の後にも待っている人がいた。
待っている人にも迷惑がかかる。
とにかく、おばあちゃんには出て行ってもらうしかなかった。
急いでお金を引き出すと小走りで表に出た。
さっきのおばあちゃんの姿は、どこにもなかった。
おばあちゃんが手に持っていたのは郵便局のキャッシュカードだった。
さっきのATMは、ゆうちょのATMではない。
カードが違っていたから使えなかったのでは?
そう言おうにも、さっきのおばあちゃんは、もういない。
仕方なく買い物をするためスーパーの中へ…
そしたら、いたんだな~
さっきの、おばあちゃん二人がスーパーの店員さんに必死に訴えていた。
いやいや~
スーパーの店員さん、ATMとは全然別モンで関係ないし…
そう思いながら声をかけた。
「ゆうちょのカードだから、使えなかったんじゃないですか?」
そしたら、おばあちゃん「前にも、これで引き出したことがある。」と…
へぇ~、そうなの?違うカード使えるんだ…
おばあちゃん、また「先に入ってた女の人が変なとこ押したからやと思うんですわ…」と。
でも…
「私、普通に使えましたよ?」
私の言葉に、店員さんホッとした顔して「またやってみてくださいね。」とおばあちゃんに言うと仕事へと戻っていった。
おばあちゃんは不可解な顔して「はぁ…そうですか…」と言いながら去っていった。
一件落着?
でもね、おばあちゃん…
ATMを操作してる途中に入ってこられるとドキッとして怖いんだよぉ!
何か問題や質問があったら自動ドアの外で待っててくれると、ありがたいんですけど。
何もかも疑ってかかるような世の中になってしまったのが悪いのか…
おばあちゃんに何か悪い態度を取ってしまったような気がして後味が悪かった。
