17 出来すぎたシナリオ
★が好きだと気付いて携帯番号とアドレスをゲットしたものの肝心なことを忘れていた。
★には今、付き合っているヤツはいないのだろうか…
おばさんの話では★は今、19歳。
いないと思う方がおかしいくらい★はオレよりちっちゃくてカワイイ―――
どうしたらいいんだ…?
モヤモヤ考えてても仕方ない。
ここは思い切って本人に聞くっきゃないだろ!?
練習を終え部屋で携帯を手にした。
《こんばんは。作業は終わった?》
5分もしないうちに★からメールが返って来た。
《こんばんは!
無事、終わりました。
今、帰るため駅に向かってます。
その後、お加減、どうですか?》
大丈夫だよ―――そうメールを送ろうとしてやめた。
声が聞きたい。
直接、電話で話したい。
電話番号を表示し発信ボタンを押した。
3回ほど呼び出し音が鳴ると★の声が聞こえてきた。
「もしもし…★?オレ!分かる?」
「もしもし…内村さん?こんばんは!」
「こんばんは…メールよりも話した方が早いだろうと思ってさ…」
「ですね!あれから、何ともないですか?私、気になって、気になって―――」
「★はホント心配性だな―――鉄棒してたの見ただろ?なんかあったら、あんな風にできないよ…」
「あぁっ!見ました!あれ凄かったです!私、あれ見て泣きそうなくらい嬉しかったんですよ!?」
「泣きそうだなんて大げさだな…」
「ホントです!本当に泣きそうだったんですよ!」
本当にオレの事、心配してくれてたのかと思うと嬉しくてたまらなかった。
もしかして★もオレの事、好きでいてくれてるのかもしれない…
言ってみようか―――
口から心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしている。
オレ、★が好きなんだ―――
そう言おうとノドの端まで出かかった時の事―――
★の背後で男の声が聞こえた。
「★!もう電車、来るぞ!」
確かに男の声でそう聞こえた。
「ちょっと待って下さいね…」
★は慌ててそう言うと携帯を口元から離し、さっきの声の主と一言、二言話していた。
「ごめんなさい…電車来たので―――後から、こちらからかけ直しますね…」
「――――――あ…うん。じゃあ…」
そう言って電話を切った。
痛い―――
胸の奥、心臓を鷲掴みにされたようにキュッと苦しくて痛い…
告白する前に失恋ってか―――?
オレ―――なんかバカみたいだ…
好きだと気付いたその日に失恋って、まるで漫画かドラマのようなシナリオで出来過ぎじゃないか―――
まいったな…
自分が思ってた以上にオレは★の事が好きだったみたいだ…
★はいつの間にオレの中に入り込んで、こんなに大きくなっていたんだろう―――
解説 あとがき
ホントに、この流れは王道ですね…
オリジナリティ無くてスミマセン…
CMのセリフ「出来杉~」を入れてみたくなってこんなんなりました…orz
(この物語の成分は主の妄想100%で出来ています!)