26 ウサギ
次の日も、その次の日も内村さんからメールが来たけれど学校の行事で忙しくてと、返事をしないまま今日ま
で来てしまった。
あの日、好きだと言われてどんなに嬉しかったか、幸せだったか―――
でも…それでも好きだという、この気持ちは言えない。
これから先、内村さんはもっと世界へと羽ばたいて活躍する。
そんなすごい人なのに私が側にいちゃ、きっと邪魔になる…
もっと、もっとステキなお似合いの女性がいるはずだから…
内村さんは私とは違う世界の人だから―――
涙が頬を伝い床に滲む。
心はこんなにも内村さんを求めているのに…
力なくその場に崩れおちた。
好きなのに―――
こんなにも愛してるのに…
その夜、一晩中、声を殺し泣き続けた。
酷い顔…
瞼が腫れ目も赤く充血している。
こんなんじゃ電車にも乗れないし、友達にも顔、見せられない…
今日は学校お休みしよう。
大学の友人に休みの連絡を入れた後ベッドにもぐりこんだ。
目を閉じて思い出すのは、あの日の内村さんの言葉―――
「オレ、★が好きなんだ…」
思い出す度、辛くなる。
忘れなきゃ…
毛布を頭までかぶりギュッと目を閉じた。
どれくらい眠ったのだろう―――
気がつけば部屋のカーテンが夕焼け色に染まっていた。
今、何時…?
壁に掛けられた時計の針は夕方6時を指していた。
目は相変わらず赤く充血してるけど腫れはひいたみたいだ…
鏡を覗き込みホッと安心する。
お腹空いたな…
思えば朝から何も食べていない。
心はこんなにも辛いのに体は正直だ。
ちょっと買い物に行ってこよう…
身支度を整え、玄関を出た。
その瞬間息が止まりそうになった。
どうして―――!?
ドアの前、携帯を手にした内村さんが立っていたのだ。
どうしよう―――
私、まだ心の準備出来てない!
目だってこんなに真っ赤に充血してるのに…
「あれ?いたんだ…?もしかしたら、もうすぐ帰ってくるかもって思ったから―――今日は逢えるまでずっと待っ
てようって決めて来たんだ。」
内村さん、返事を聞きに来たんだ…
このまま返事を先延ばしにしても結果は同じこと…
ちゃんと気持ちを言って謝らなきゃ。
「あ の ――――――私…」
「どうしたんだ?目、ウサギみたいに真っ赤だぞ!?」
どうしよう!?
泣いてたのバレてしまう…
「ちょっ、ちょっと買い物あるから―――部屋で待ってて下さい!!」
逃げるように玄関を飛び出した。
「あっ!待てよ!おい!★!!」
背中越しに内村さんの叫ぶ声が聞こえたけど聞こえないフリしてただひたすら走った。
苦しい―――
この苦しさは走ったからじゃない。
本当の気持ちを隠したまま、今日でさよならしなきゃいけないと思うと辛くて苦しい…
でも―――
これでいいんだ…
元いた世界に戻るだけ…
内村さんのいない世界に戻るだけ―――
解説 あとがき
実際、内村クンの彼女ってどんな人なんだろう…?と考えたことがあります。
すごく大変だろうなって…
ロンドン五輪で更にファンが増えたでしょ?
もし今、彼女がいるのなら―――彼女としては嬉しいことだけど心配なこといっぱいだと思います。
どんなに可愛いくてステキな人でもきっと悪口言う人がいる―――つまりファンの嫉妬です。
内村クンはもう23歳!彼女がいて当然でしょ?(噂はイロイロですが…)
実際いるとしたら★のように自分に自信持てない人じゃ精神的にキツイんだろうな…
いろんな事があるだろうけど頑張って欲しいです!(誰に!?)
(この物語の成分は主の妄想100%で出来ています。)