28 ホントの気持ち
失敗した…
買い物するからって出て来たけれど財布の中は小銭しか入ってない。
内村さんはまだ部屋にいるのだろうか…?
メールしてみようとポケットを探って携帯を忘れて来た事に気付いた。
ダメな時は何をやってもダメなんだな…
悲しくなった。
もう部屋に戻るしかない…
部屋のドアを開けると、まだ内村さんの靴があった。
「おかえり!」
意外にも明るい内村さんの声に少し驚いた。
ひとり部屋に残し、きっと機嫌悪くしてるって思っていたから…
「あれ?手ぶら?買い物は?」
「お金―――小銭しか入ってなくて…」
「あわてん坊だな!携帯も忘れてっただろ!?」
「うん…」
うつむいたまま頷いた。
「おいで!ここ座って!」
内村さんは自分の座るすぐ横の床をトントン叩きながら笑った。
まるで叱られた子供のように言われるまま座る。
「今日は★の気持ち、聞くまで帰らない!」
駄々をこねるようにイタズラっぽく笑う。
その余裕の顔はどこから来るの?
まるで私のホントの気持ちを知っているかのように―――
でも…それでもやっぱり、本当の気持ちは言えない…
それがお互いの幸せになるはずだから―――
「私―――内村さんの気持ち、凄く嬉しいです…でも気持ちに応えることはできません…」
「どうして!?」
「――――――内村さんと私は、お客様と店員…アスリートと、そのファン以上の関係にはなれないから―――」
「ウソだ!!そんなのウソだ!!なんで本当の気持ち言わないんだ!?」
内村さんの言葉が胸に刺さる。
口が裂けても本当の気持ちは言わない…隠し通すと決めていたのに気持ちが揺れ動く。
「私は…内村さんに似合わない―――私じゃ内村さんと釣り合わない…」
辛い…悲しい…苦しい―――
泣かない、内村さんの前で涙は見せまいって決めてたのに勝手に涙が溢れてくる。
「なに言ってんの!?似合わないって、そんなの誰が決めるんだ!?そんなの勝手に決められても困る!!そこ
にオレの意思はあるのか!?オレのこの気持ちを無視するって言うのか!?」
内村さんの意思…?
内村さんの気持ちを無視するって…?
喉の奥が、鼻の奥がツンとイタイ。
苦しくて、苦しくて息が詰まりそうになる。
欲しくて、欲しくてたまらない人…
でも――――――
「私が側にいると――きっと邪魔 に…な る… 私 じゃ ダ メな の…」
言わないって決めたの―――
解説 あとがき
コレを書く前に美珠葵氏に「1度は断るんだよ!」って言ったら「アンタそういうの好きやね!」と言われた。
好きと言うか―――
例えば告白で「好きだ!」 「私も前から好きだったの!」じゃ、話として面白くないでしょ?
ホントのこと言えば、もうひと山もふた山もあって、やっとハッピーエンドって方が盛り上がって面白いと思うんだけど、時間も、それを書く腕も持ち合わせておりません…
ホント、どこかに文才、売ってないですかね?
予告
明日は甘いです!フフフ…
(この物語の成分は主の妄想100%で出来ています!)