「ああ。」
今日も、父のお見舞いに行ってきた。
私の願望なのかどうなのかは分からないけれど、見るたびに快方に向かっているような気がする。
救急車で運ばれた翌日には、意思疎通は出来なかった。
それが、昨日、今日と、私が言っていることが理解できていて、
帰り際に 「また来るからね。」 と言うと、父は 「ああ。」 と、小さく頷いた。
先生や看護師さんの治療や、薬のおかげなのだろうけど、まずは父が、
生きるという望みを捨てていないからだと思う。
「まだ生きたい」
その気持ちが、父を快方へと向かわせているのかもしれない。
その快方は、一時的なものかもしれないけれど、それだけで家族は気持ちが楽になる。
私は奇跡を待っているのかもしれない。
今日の夜、HNKの番組で、延命治療についての番組が放送されていた。
父のこともあるので、娘と二人で、その番組を見た。
「私は、延命治療は、しなくていいからね。」
そう娘に伝えた。
終活ノートを書くには、まだ早いかも知れないけれど、今の時代、明日何があってもおかしくない。
最低でも、これだけは記録として残しておこう。
「延命治療は望まない」
病院の帰りに、母のお墓参りに行った。
線香をあげ手を合わせる。
「もう少し待ってあげてね…」
孫っちの手に持っていたタンポポの綿毛が、フワッと風に揺れ飛んでいった。

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